大本営最後の指令 ~遺された戦時機密資料が語るもの~
長野県大町市に保管されている200点以上の資料群。表紙に「壮丁名簿」「在郷軍人名簿」などと記されている資料は本来、この世に存在しないものである。昭和20年8月15日、東京・市ヶ谷の大本営から全国に焼却処分を命じられた書類だからだ。大本営が消滅させようとしたのは、「兵事資料」と呼ばれる。戦前・戦中、全国の市町村役場が徴兵事務を行うために作成された**書である。大町市に残された兵事資料は明治、大正、昭和の三代にまたがる。明治維新以後、近代化を推し進めてきた日本。その中で、庶民一人一人がどのように国家と関わりを持ったのか。この資料には、そうした庶民の歴史が刻まれている。
持ったのか。この資料には、そうした