大氷原又名Flood Plain
さいはての国に春が訪れると、オホー*ク海は流氷の季節に入る。樺太から流氷に乗って来た鉄二を、トッカリ船の島田船長が網走の金沢海産事務所に伴った。鉄次の願いは、ギリヤーク人のシャーマン(長)であるおかね姿さんに会うことだった。その鉄次は土地のヤクザ春川組に襲われた娘の危難を救ったが、お互に顔も知ることなく別れた。そのとき拾ったギリヤークの木彫のペンダントを鉄次はポケットにしまった。ところで、養女の冴子と二人暮しのおかね婆さんは、鉄次のことなら何でも知っている。終戦直後、自分だけ助かるため癌をデッチあげた日本人の裏切りで、鉄次の両親はソ連兵に処刑されたのだ。鉄次は「婆らゃん、俺は沢野って男を殺してやるぜ」と誓った。翌日、鉄次は金沢社長や娘杏子、島田船長の見守る前で、北海一と謳われるトッカリ射ちの名手北村と村田銃の腕を競ったが、見事対手を負かした。数日後、...