続・高校三年生
高校三年生、それは喜こびと同時に、苦悩にみちた時代でもある。東京の下町晴海高校でも、溌剌とした話題が渦まいている。今日からこの学校に転校して来た高津明子も朗らかなスポー*ガールだ。歴史の時間、面白くもない授業にうんざりした明子は、成績ナンバーワンの早川孝が「ちっとも面白くないです」と返事をしたのを、心で拍手した。孝の父善平は、工員であったが、妻の遺言通り、孝を大学にあげて、エンジニアにしようと誓っていた。そんな父の気持を知った孝は、自分が色弱であることを父に話せず悩んでいた。弟の信次は、勉強はからきし駄目で、彼の理想は、船田朗のような優秀な工員になることであった。事情を聞いた船田、明子、俊子、夏子の説得で、信次は、しぶしぶ大学に行くことを承知した。こんな明るい明子達にも悩みがあった。明子は見栄っぱりの母親に手を焼き、夏子は漫画家の父の奇行に悩やまされ...