花之大障碍原名:花の大障碍,
ハヤテはダービーから除かれた。スタートに並ぶと暴れて手がつけられなくなるので出場停止をくったのだ。馬丁の平造はくやしかった。平凡な血統の中に傑出した名馬の素質を見出している平造は、若い馬丁や調教師の愛情が足りないためとその日からつきっきりで調教を始めた。スタートに立っても暴れなくなったハヤテは、やがてレースに出ることになった。今度は新進騎手の中でもっとも嘱望されている水木信吾を乗せることにした。三番手についていたハヤテは第四コーナーで一躍トップに躍り出た。しかしゴール前百米で本命のハナホマレに抜かれ、遂に最後尾となってしまった。馬主の小西は、ハヤテを売る決心をした。平造は反対し哀願したが無駄だった。平造はその夜ハヤテを汽車に乗せ、生れ故郷の大和牧場へと逃げた。この失踪は関係者をあわてさせた。次女の花枝と孫の一馬が迎えの使者に立った。“ハヤテ”と叫ぶ一...