君在何处原名:あの波の果てまで 前篇,
志摩の真珠業者江沢庄造の娘千秋は、東京遊学から帰った。父の事業は昔の使用人三田村にのっとられ、家は窮迫していた。そのうえ彼女は実母と信じていたさとが継母で、本当の母は美奈子といい、北海道にいるのを知った。恋人の真珠研究所技師佐竹竜一とわかれ、千秋は研究所長稲見に見送られ上京した。磯貝真珠店に働くうち彼女は店主に乱暴されそうになり、バー“ボルガ”のマダム新子に助けられた。彼女は千秋の実の母の親友であった。新子に教えられ、千秋は北海道に行って母と会った。母は土建業を営む鵜川に囲われている身で、千秋の心は裏切られた。帰京した彼女は旅行中知りあった池*勉が事務局長をやっているチャーム・スクールに勤める身となった。その頃、志摩から恋人佐竹が友達の馬渡と上京したが千秋は少しも知らなかった。佐竹は稲見所長の旧友の娘蘭子にしつこく求婚されていた。志摩の千秋の家業が赤...