女怪:片岡鶴太郎の金田一耕助シリーズ
昭和2×年の初夏から夏にかけて『夜歩く』と『八つ墓村』の**を解決して後者の**で充分な報酬を得た金田一耕助は、9月の初め、「先生」と伊豆の鄙びた温泉場Nの宿屋に逗留する。近所には狸*の行者・跡部通泰の修行場があり、その修行場は元は持田電機社長・持田恭平の別荘であった。持田恭平は、金田一が恋愛感情を寄せる銀座裏の「虹子の店」のマダムである持田虹子の死んだ夫で、死因は脳溢血であった。 金田一たちはそこで最近、墓場荒らしが何度も発生していると聞き、狸*の行者の修行場を見物がてら墓場に赴くと、跡部通泰が蜜柑箱くらいの木の箱を隠すように抱えて立ち去るところに遭遇する。墓場を見ると持田恭平の墓が荒らされ、頭蓋骨がなくなっていた。 それからほどなく帰京した2人だが、10月の中頃、「先生」に再会した金田一はひどく憔悴していた。どうやら虹子は狸*の行者・跡部通泰に恐...