青春かけおち篇
康夫は実家の板金工場で名目だけの係長におさまって給料を貰い、カメラにうつつをぬかしている。家には弟の義郎が居るが少し足が悪い。その原因が自分にあると思い込んでいるだけに、彼は家に居づらく、レストランを経営する恋人の北城セ*子の家へころがりこんでの、宙ぶらりんの生活を続けていた。30代に突入した康夫は、実家の相続権は義郎に譲り、セ*子と結婚して北城家の婿になりコック見習いからはじめようとケジメをつけようとする。北城家は代々女系家族でセ*子は一人娘。セ*子の母、則子も父、和夫も康夫の婿入りを望んでいた。ところが、セ*子に見合い話が持ちこまれた。相手は31歳で年商30億を商うという貿易商の早乙女。しかも彼は15年間もセ*子を思い続けていたというのだ。早乙女の態度に感動した和夫は、康夫のアラを見つけてはイビリはじめた。セ*子も早乙女とデートを重ね心を動かされ...