若い瞳
松川家の主人新吉は小さな広告会社の専務、妻たみと高校三年の勝気な娘ひろ子、生意気盛りの高校二年生保が家族である。隣家中川家は英語教師の政治、妻八重子、就職試験に忙しい大学四年の治夫の三人暮し。保にとって治夫は兄のような存在であり、ひろ子は治夫に淡い乙女の夢を描いている。ある日、ひろ子とその学友文子、保と治夫、治夫の学友でバイヤー秘書のアルバイトをしている和郎の五人が、和郎の運転するバイヤーの車でドライヴした。その時、文子が治夫に関心を持ち出したことから、ひろ子は治夫にはっきり惹かれる自分を見出した。松川家の長女隆子は洋品店を経営する健作に嫁いでいる。ひろ子はアルバイトとしてその店に働くようになったが、そのうちにも治夫を慕う心はつよくなって行く。治夫の父政治が東京の大学に栄転することになり、一家が引越すことにたったとき、治夫は就職試験を口実にこの土地に...